2010年02月07日

「贋作 猫と庄造と二人のをんな」

宮地嶽神社の猫犬お守り

宮地嶽神社・猫犬のお守り10Feb03.JPG

恵方巻きと豆、猫画面の意味不明コラボ

恵方巻き10Feb03.JPG

「贋作 猫と庄造と二人のをんな」

自作の小説?です。前の部分はもう1つのブログに収録しています。

http://lilylily.a-thera.jp/



そもそもこのブログのタイトルも、谷崎潤一郎の「猫と庄造と二人のをんな」にちなんだものです。


登場人物

佐藤百合子
佐藤龍彦
澁澤春夫
権田 (雑誌新緑の編集者)
スージー(シャムネコ)
金子(男子学生 大学図書館アルバイト)
川村(女子学生 大学図書館アルバイト)
安永 (男子学生 大学図書館アルバイト)


春夫のマンションの階段を降りる。
百合子は国道に出て、タクシーを物色した。
個人タクシーがすぐに見つかったので停めた。
「大峰町まで」
50代くらいの運転手は前のフロントガラスに小さな招き猫を置いていた。
交通安全のお守りも猫をかたどったもので、他にも猫のぬいぐるみ、マスコットの類が置かれている。
どうやら猫好きの運転手らしい。

「運転手さん、そのお守りどちらで見つけたんですか?」
「あ、これ?招き猫で有名な聖徳寺ってあるんですけど、そこに行って買ったのですよ」
「まあ、わざわざ…」
「私は猫が好きなもんでね」
「あら、そうなんですか。うちにも一匹いるんですよ」
「ほうほう。猫種は?」
「シャム猫の雑種なんですけど。女の子です」
「いいですねえ…可愛いでしょう、洋猫と日本猫の雑種は」
「そうですね、綺麗ですよ。運転手さんはどんな猫飼っておられるの?」
「うちはそんな洒落たのはいないですよ。三毛猫と茶トラの男の子です。お客さんが停めてくれなかったら、そいつらを拾った所に行こうかと思っていたんですけどね」
「あら…捨て猫を保護されたんですか?」
「そうそう。トランクにね、連中のお仲間にやるフードも入れてますよ」
運転手はあごで車の後方を指し示した。

「猫おじさんなんですね」
百合子は龍彦が犬の散歩に行く公園にも野良猫が多いことを思い出した。
あの人ももしかして、猫おじさんかもしれないわね…?

「あの、ちょっと変なこと伺いますけど」
「何でしょう?」
運転手はバックミラー越しに百合子のほうを見た。
「自分が飼っている猫に以前、別の飼い主がいるとしますね…」
「はあ」
「今住んでいるアパートが飼えないからって事情で手放したとします。それが、引越し先はペット可の物件なので、返してくれって言われたとして…」

「そいつは、込み入った話ですね」
「いえ、友達の話なんですけど。それが今の飼い主が最初はそんなに猫が好きでもなかったのに、情が移っちゃって、手放したくない、って言ってるのですよ」
「うわー。そいつは大変だ」
「でしょう?どうしたらいいんでしょうね…」
「例えばね、猫ならどんな子でもいいとか、多分そのお友達は思ってはいないだろうと。他の子を新しく飼うようにしたら、今可愛がっている子は忘れられるかって、そういう問題でもないでしょうよ」
「そうですね、私もそう思います」
相談しているのにその答えでは解決にならないではないか、と百合子は言いそうになった。
しかし、乗客に行きがかり上、振られた話題に親身に乗ってやってる運転手は親切だと思わなくてはならないだろう。


(この項目続く)


ニックネーム suziestefan at 13:16| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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