2009年11月24日

「贋作 猫と庄造と二人のをんな」2

「贋作 猫と庄造と二人のをんな」

 
ぅなーお。
百合子の足元につるんとした毛の固まりが触った。
シャム系の猫らしいやや寄り目のブルーグレーのガラス玉が百合子を見上げている。

日本猫との雑種だそうだから、
ピンクがかったベージュ色の短い毛が身体全体を覆ってはいるものの、
シャム猫の特徴として表れるシールポイントと言われるこげ茶色の毛は
スージーの顔の中心と尻尾にそれ程濃く色づいてはいない。
尻尾も床に倒れるほどに長くは無く、
そうかといって尾曲がり猫のようにちぎれた短さでもない。
中途半端な長さの尻尾が30度くらいの角度で立ち上がったままである。


「スージー?…びっくりした。今ね、あんたのパパのメール読んでたのよ」
ぅなーお、ぅぅぅなーん。
「パパって言ったら分かるのかしら…
ちょっと今さ、構っていられないから後にしてくれる?」
ぅなーお、ぅなーお、あんあん。
「うるさいなあ。あっち行ってなさい…ほら」
「おい、腹が減っているんじゃないのか」
「…あら、帰っていたの」


夫の龍彦がチワワのジャックを抱いて立っていた。
グレーのパーカーにベージュの毛がくっついている。
やや内股の長い足に履きこんだインディゴブルーのジーンズ。
スージーは百合子の黒いスパッツを履いた足元から向きを変えて、青い長い爪とぎに絡まり始めた。

「ただいまぁ、スージー。いたた…おニャかすきましたかー。待っていなさい、
今かつおスティックあげるから」
龍彦は居間件ダイニングキッチンのカウンター下にある引き出しの一番上から「チャオ」というメーカーの細長い袋を取り出した。
白い猫の写真がパッケージに付いている。
ん、なーお、ぅなーお…

引き出しが開けられる音に反応してスージーが身を乗り出した
袋を破る前からピンクベージュが龍彦の右腕に絡みついた。

「スージーはこれが大好きだもんなー…おい、買い置きがもう無いぞ。
リビングホームの特売は昨日で終わっていただろ?」

リビングホームというのは隣町のホームセンターである。
この夫婦は犬と猫の食事はその店で買い揃えることが多い。

「知らないわよ。貴方がチラシ見ていたのなら、自分で買ってくればいいじゃないの」
百合子は夫の夕飯の支度が遅れているのを咎められるのならまだしも、
猫のおやつで指図されたことに苛立った。


「あのね、春夫から今日メールが来ていたの」
「春夫さんから?何で、今頃?」
い、ま、ご、ろ?
今更、ではないのか。
百合子は呆気にとられた。
夫がまるで春夫のことを龍彦の大学の先輩からの便りが届いたかのような反応を見せたからだ。

「春夫がスージーを近いうちに引き取りたいって言ってる…」

百合子は夫に春夫がメールに書いてきた近況をかいつまんで話した。

「何だよ、それ。マジかよ。春夫さんはスージーを置いていったんだろう?今更、何言ってるの」
今更、というフレーズがこの時龍彦の口から出たことに百合子は目を見開いて夫の薄い唇を凝視した。

「どうせあの人のことだから、文学賞なんて言っても現実味が無いのだろうけどね。今までだって候補にすら上ったことは無いのだから」
「でもさ、春夫さんの書くもの、俺結構好きだぜ。
猫の話いっぱい書いてるだろ。デビュー作の『湖畔の猫』って新人賞取ったじゃないか。他にも…」
龍彦が春夫の作品を読んでいたことも百合子は知らなかったが、次から次へと猫を題材にした作品を羅列していくことにも驚いた。


「春夫さんさ、才能あるよ。もっと売れていいと思うな。その文学賞の話、結構手応えあるんじゃないのか。彼、嘘は言わないだろ」
「作家で嘘つきじゃない人なんかいるもんですか!」
百合子は声を荒げて夫を睨みつけた。
「何怒っているんだよ…」


百合子は我にかえって冷蔵庫のドアを開けながら、手早く作れそうな献立の吟味を始めた。
春夫のメールの前で思ったほど時間をくってしまい、
手の込んだ物を作る気がしない。
冷凍庫にトマトソースがあった。
あれとハンバーグの種を解凍して、サラダを添える。
パスタも茹でてバターソースと和える。
フランスパンがあったからガーリックバターで軽くトーストしてトマトソースの残りでブルスケッタ。
キャベツや人参の千切りを入れた簡単なスープ。頂き物のワインがあったっけ…。


「文学賞本当にノミネートされるなら、めでたいことには違いないわ。
そうなると、春夫はスージー返して欲しいって言ってるけど、依存ないよね?」
「えー。スーちゃん、スーちゃんはもう前のパパのことなんか、忘れたよねぇ…。龍パパのほうが好きだよねぇ…」
猫は龍彦にあごの下を撫でられて、大きな音をさせてゴロゴロ言い出した。


猫はさ、たくさん会ってるし何匹か飼ったことあるけど、
スージーみたいな子には会ったことないね。
ゴロゴロ喉をならす子はいるけど、外にもはっきり音が聞こえる子はなかなかいないよ…。
春夫が言っていたスージーの美点とやらの数々を、どうしてこんな時に思い出すのだろう。


「まあ春夫さんが実際にいい状況になるんだったらまた言ってくるだろうからさ、スージーのことはその時考えればいいさ」

百合子は猫をやり取りすることなど簡単にすませられる話だと思っていた。
 夫の意外な反応に鼻じらみながら、解凍すべき食材を電子レンジに入れ、パスタを茹でるべくお湯を沸かしはじめた。
料理好きの彼女は軽い夫婦の諍いも食卓を整えることで気晴らしに変えることができる。
「ワインとグラス取ってくれる?」
 

春夫からのメールが届いて10日ほども経っただろうか。
百合子は図書館の事務室の中で時計を見て帰り支度を始めた。
大学の付属図書館の司書である彼女は月曜から金曜までは6時、隔週の土曜日は休みで勤務日は5時には帰れる。
他の司書も同じ時間に帰るので、
その後は10時までアルバイトの学生たちが図書館の建物の鍵を管理することになる。


「お疲れ様、後お願いね」
金子という男子学生と川村という女子学生が今日の当番である。
「お疲れ様です」と金子が百合子と同僚を振り返ってカウンターから応える。
川村は書籍貸し出し希望の学生の応対をしていた。


百合子が階段を降りようとしたとき、背の高い男が階下で声をかけた。
「やあ。今、帰り?」
「あら…こんばんは」
春夫だった。
同僚たちは横目で2人を見ながら「お先にぃ…」足早に図書館の棟から足を踏み出した。

「ここで会うのは久しぶりだわね。まだ通っていたの」

単科大学に近い小規模の大学なのでキャンパスはそう大きくはない。
それでも市立の図書館よりは遅くまで開いているし、学生の試験期間以外は一般も利用できるので春夫は時々この図書館を利用していた。

「僕が来るのはここの学食で晩飯食ってその後だから、大体6時半くらいかなあ。君とは入れ違いみたいだし」
学生食堂は7時までの営業だから学生も多く利用するし、そうかといって一般人が入れないほど混雑しているわけでもない。
百合子は春夫が彼女を避けてその時間帯に図書館を利用しているのか、本当に夕食を取れる時間帯に合わせているのか判断をつきかねた。


「学食でコーヒーでもどう?ちょっとさ、話があるんだ」
今日に限っては元夫が百合子を待ち伏せしていたようなそぶりを見せることに彼女はそう悪い気がしなかった。
「いいわよ。あなたは食事していくの?コーヒーでお相伴するわよ」
「そうだな、ここのカツカレー結構旨いんだ。
昨日はうどん定食だったから今日はそれでいくか」


春夫は自販機の前で財布を取り出してコインを入れ、ブラックコーヒーのボタンを押した。
コーヒー缶2つのうち1つを百合子に渡しながら
「熱いから気をつけて」
「有難う」

2人は学食の4人座りのテーブルで学生が隣に座っていない所にコーヒー缶を置いた。
「食券買ってくるから」
春夫は食券売り場に行って何か一言告げて食券らしき小さな紙を受け取った。


百合子の席に戻ってきた春夫は
「今日残業無かったのか」
「うん。この頃は講演会とかイベント貸し出しも無いし、このところいつも定時で帰ってる…オーダーストップ6時半でしょ?カツ定食残っていた?」
「カツはあるけど味噌汁が無いって。カツ丼にしてもらった。あのオバサンまだ居たね」
春夫と顔馴染みの柳原という調理師の女性がサービスしてくれたらしい。


「…話っていうのは?」
わざわざ百合子の勤務終了を待っていたらしい春夫の前で、彼女はデパ
ートで購入したばかりのライダースジャケットを着てこなかったことを少し悔やんだ。
スゥエードの七部袖ジャケットに白い丸襟のカットソー。
こげ茶とベージュのストールを首に巻いてブーツカットのジーンズ。
足元は茶系のショートブーツ。
そう安っぽくはないがここの女子学生の服装と大差無い。
カシミアのセーターにコーデュロイパンツというシンプルだが垢抜けていて、ここの非常勤講師
たちよりも数段知的な風貌の春夫と自分は学生たちの目にどう映っているのだろうか。


「こんばんは、佐藤さんお疲れさまです。」
「こんばんは」
今日シフトで入っている2
人とは別のバイト生安永が百合子に気がついて挨拶した。
安永は春夫のほうをちらっと見たが、すぐに前方にいた女子学生に追いついて自分たちのテーブルについた。


「カツ丼のお客さーん」
調理師の柳原が春夫のほうを見て声をあげた。
「あ、俺だ。取ってくるから」
春夫の持ってきたトレイにはカツ丼にポテトサラダの小鉢と漬物が添えられていた。

「…随分あなたに親切ね」
「毎日ってわけじゃないけど良く来るからかな。お昼も来る事あるしな…
この前のメール、読んでくれたかな?」
「スージーを引き取るとか、文学賞のノミネートとかって」
「それ。本当に実現しそうなんだな。新緑賞にノミネートされた。
来週雑誌が出るだろ。ここの図書館も雑誌が寄贈されているけど新緑もあるだろ。
受賞作となると、来月号掲載だけど」
「新緑賞…」


新緑賞というのは、芥川賞直木賞ほど権威はないのだが、創設されて20年、受賞者の中にはその後芥川賞受賞者も多く輩出している。

「良かったじゃない、おめでとう。凄いわ」
「サンキュ。月間新緑の権田さんいるだろ。君も会ったことあるけど。
あの人がこの頃俺のマネージメントみたいなことしてくれててさ、新緑系列の雑誌とか他誌にも連載とか増えそうなんだ」
百合子は大柄で小太りな32,
3歳の男を思い出した。そうやり手には見えないが、頭の回転は速いし押し出しも弱くは無さそうだ。

「へえ…面倒見がいいのね」
「大作家の傍に名編集者ありき、だろ。」
「大した自信ね」
「権田さんが『猫を食む』の第一稿を読んだ時からさ、澁澤さんこれはなんか今までのと違う、こいつはイケますよって熱くなっちゃってさ…」
「また猫の話なんだ」
「なんだぁ、読んでないのかよ」
「悪い。この頃本とか、別に貴方のものだけじゃないのよ、読んでなくてね…」
百合子は龍彦が春夫のノミネート作品も読んでいるのだろうかとちらっと思った。

「俺のハードカヴァーとか文庫って初版しか出ていないだろ、直ぐに絶版になったのもあるし。それが今度は権藤さんもえらくプッシュしてくれて始めて文庫の2刷目が出るんだ。講演会依頼とか、サイン会とか大学の文学講座とか、何か忙しくなりそうなんだ」
「へえぇ…それはまた。」
「まとまった金も入りそうだしさ…スージーと暮らせるマンション見つけたんだ。昨日、手付けも払ってきた」
「えぇー。気が早いのね…」

「俺がスージー連れて行くことにそっちは異存ないんだろう?」
「あ、それが…」
百合子は実は龍彦が思ったよりも猫に執着していて,
いざ譲渡という話になると揉めそうだ、という口を滑らしそうになって思い留まった。
何も今ここで直ぐにカードを切り出すことはない。


「ん?何かあるのか」
「ううん、旦那がね…」
百合子は旦那、の部分に力を込めて発音したのだが春夫がそれに気がつかないのに唇を噛んだ。

「旦那がね、貴方の作品結構読んでるんだって。面白いって」
「へー。そいつはどうも、って伝えておいて。別に異存無いんだろうからさ、こっちも本格的に
忙しくなるのはもう少し先だろうし。
そっちの都合に合わせるには早いほうが
いいからさ、スージー引き渡す日とか、相談しておいてくれよ」


春夫は一切れ残ったカツを口に放り込み、白飯と卵を器用に箸で纏めながらどんぶりを綺麗に空にした。
百合子はすっかり温くなった缶コーヒーを薄いピンクの爪でつつきながら、
「うん…こっちから連絡する。引越しはいつなの?」
「引越しっていうか本ばかりだけどね。もう新しい所に少しずつ荷物運び入れてるんだ。今住んでいるところからバス停3つくらいしか離れていないし。
薬泉の公園あるだろ、あの近く」
「ああ、スージー貰った猫カフェがあるとこ」
「そうそう、スージーも懐かしいだろうし、あの店は猫を譲渡した里親なら猫シッターとか猫ホテルのサービスもしてくれるしな」
「…至れり尽くせりじゃない、猫には」

百合子は龍彦にどう話したものかと思ってそれから後の春夫の話には生返事ばかりしていた。
幸い、調理師たちが皿の音を派手に立てて洗い出していたので、
「もう出て行かないとあのおばちゃんに悪いわよ、せっかくおまけしてくれたんだから」
 

 
百合子は大学近くのスーパーで買い物した袋をぶら下げてマンションに帰ってきた。
鍵を開けるとジャックはいないので、龍彦が先に帰宅して散歩に行ったらしい。


うなーん、あんあん。
ドアを開けるやいなや、ブルーグレーの寄り目が玄関先で百合子を見上げていた。
「ただいま…オヤツは貰っていないのかな?」
カウンターキッチンの台上にはチャオの袋が開封されて乗っていた。
「貰ってるじゃないの。足りなかった?」


うなーん、うなーん。
百合子はシステムキッチンの引き戸を開けて缶詰とドライフードを取り出した。
スージーが百合子の足元をぐるぐる廻っている。
有田焼の赤絵のサラダなどを入れる皿は春夫がスージー用に使っていたものを置いていったものだ。
猫に贅沢すぎる、と百合子は彼と暮らしていた頃非難したものだが春夫は聞かなかった。

壁紙

壁紙のほうにこの小説の最初から掲載しております、そちらもどうぞ
http://lilylily.a-thera.jp/
 

Feline in NPark09Nov21 (3).JPG


 

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2009年11月19日

「贋作 猫と庄造と二人のをんな」

「贋作 猫と庄造と二人のをんな」

「百合子へ。 久しぶり。 元気か。
このアドレスが変わっていなければいいのだが。

早いもので僕が出て行って1年近い。
君はもう、佐藤と籍を入れたと人伝に聞いた。
まだおめでとう、を言っていなかったね。
入籍、おめでとう。
どうかこれを厭味ととらないで欲しい。

一番ごたごたしていた時期は正直、佐藤を恨みもした。
でも今は君のいない生活のリズムというものが自分にもできた。
時間が経ってしまえばもうこれは嫌味でも何でもない。
 

今日、メールを出しているのは他でもない。

唯一つ、出て行った家に残したもので僕が気にしていることがある。
僕が置いていったテレビとかオーディオとか、君と選んだ家具でもない。
それはスージーのことだ。

僕があの猫を大事にしていたことは君も良く分かっているだろう?
 
僕がとりあえず住んでいるアパートではペットを飼うことができない。
だから仕方なくスージーを置いていったのだ。

君も猫は嫌いじゃなかったし、それなりに大事にしてくれていた。
佐藤はどちらかと言えば犬派で、あの家に飼い犬のチワワを連れてきたのだろう?
つまり、2人とも僕ほどスージーを大事にしてくれるのだろうかという点だ。

どうか僕がスージーを引き取られるような住居を見つけるまで預かってもらえないだろうか(出て行く前に念押ししたことでもあるが)。


あの子のことが気になって眠れない、
月刊誌の締め切りにも差し支えることもある。
幸い、去年発表した作品が文学賞にノミネートされそうだ。
そうなったら、受賞できないまでも今よりは状況は良くなるだろし、スージーと暮らすめどもつきそうだ。


スージーのことをくれぐれもよろしく頼む。
佐藤にもよろしく伝えて欲しい。春夫」

 
百合子は読み終えたあとのパソコン画面を忌々しげに見つめていた。
何という男だ。
私への未練よりもスージー、スージーって。
龍彦と別れて自分とヨリを戻して欲しい、
やっぱりお前のことが好きだ、の一言がどこにも無いではないか…。
(続く)
 

…早くもWriter’s Block
である。生意気にも。
漱石の弟子である内田百閨iも猫好きである)の「贋作我輩は猫である」みたいに書けたら、と思って挑んでみたのだが。
 

「新婚家庭に猫を迎えられるか」
 

爆笑問題の田中が離婚。
女性週刊誌に元妻の「私よりも猫?」という報道があった。
田中は帰宅してまず、妻よりも飼い猫たちに挨拶していたと言う。
他にも妻が「自分よりも猫が大事なのか」と思ったことがあたらしい。


田中といえば、猫雑誌にも数回登場した猫好き芸能人の1人である。
掲載誌を見れば、かなりの猫好きと思える。
勿論離婚と言えば他にも原因があったろうし、この報道が全てではなかろうし、 真偽のほどは分からない。 

藤原紀香が離婚した際も、元夫である陣内が「猫好きの妻と違って猫アレルギー。しかも彼女の飼い猫は元恋人から送られた、と分かった」という報道もあった。
これも、真実かどうかは分からない。

しかし、2つの元夫婦の報道に共通することは「夫妻のうちどちらかがより強く猫を好きである」という点。

 
貴方がもし、結婚したばかりで夫婦一緒に住む家屋がペット可の物件だったとしよう。
2人とも猫が好きで猫を飼いたいと思っている。

夫婦どちらか1人が元々飼っていた子を連れて行く、あるいは2人とも飼っている。2人で家賃を分担して払えるのなら飼育可能な物件に入居できたから今回初めて飼えるetc

色々なパターンがあるだろう。

もし、田中、藤原氏のように「夫婦どちらか1人が強く猫が好き」ならば、新婚家庭に猫を受け入れるのはやや危険な事態を招くことにならないか?
なぜって?
それは猫が、猫好きの人間にとっては「たかが、猫」ではあり得ないから。


ある猫を飼っている夫妻の会話

彩子「おはよう、ホセ、マリア、カルメン。お腹空いた?待ってて。今ママがフード出すから…あ、こら、ホセ、まだだってば!」
鉄男「おはよう…コーヒーまだ沸かしてないの?」
彩子「あら、起きてた?ちょっとこの子たちにゴハンあげてからね」
鉄男「…フード出すだけだろ。コーヒー沸かす間に出来るじゃないか…」
彩子「お皿別々にしないとこの子達喧嘩するって、いつも言っているじゃないの。ホセはドライでいいのだけど、女の子たちはウエットと混ぜないとドライフード食べないし」
鉄男「しょうがないなあ。旦那さまは猫以下ですよー。いいなあ…お前たち…」
彩子「あら、パンだったら冷蔵庫の中よ。悪いわね」
 

…この通り、彩子と鉄男の家庭では妻である彩子のほうが猫好きで夫の鉄男はそうでもない。

猫たちの朝食は人間である鉄男の朝食よりも優先され、鉄男は自分でトーストでも焼く事態になる。
こんなことが日々、積み重なったら、「俺よりも猫が大事か!」と鉄男が思ったとしても無理からぬところであろう。
 
夫妻どちらか1人が猫好きでもう1人がそうでなかった場合も結婚後、猫と暮らすうちに猫の魅力に目覚めた場合もあるかもしれない。
親の代からある宗教を信仰していた2世信者よりも、自らの意思で改宗した人がより熱心な信者になるケースがあるように。
 

貴方の配偶者は庄造かもしれないし、品子かもしれない…谷崎の「猫と庄造と2人のをんな」のように、夫が元妻と現在の妻を嫉妬させるくらいに猫を強く愛していたら?
元夫に仕掛けた罠のつもりが、自分が猫に強く惹かれていったら?

猫を新婚家庭に迎えようという方はご用心、ご用心。
 

 
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2009年10月27日

日本文学の翻訳について Lost in translation

アメリカ人に三島の短編をいくつか英訳した本を借りた。

R夫妻はある場所で同じ猫を世話していたことがきっかけで知り合った。
最初に会ったのはご主人だったが、仕事で家にいないことが多く、気がつけば奥さんのオンバズマン?になっていた私。

PankoChan09Oct21お化粧.JPG

実は私が猫好きになったのは2004年からで、猫に興味を持たなければ彼らと知り合うことも無かったので、「猫の奇跡」と呼んでいるのだが。

彼らの家に行って驚いたのは、本棚に置いてある書籍。
日本や中国関係の本、日本文学を英訳したものがたくさんある。
漱石、三島、川端、谷崎、安部公房といった最早古典といっていいものから
吉本ばなな、村上龍と春樹
(お2人がW村上と呼ばれること、龍氏が佐世保出身であること、市立図書館に原稿が展示してあること、全て私が彼らに伝えた)など。

正直、もっと日本語が達者な外国人には大勢会ったことがある。
しかしここまで趣味が合う人たちには初めて会った。
私が猫に夢中にならなければ会えなかったであろう、猫が会わせてくれた人たち。

三島の英訳短編のうち、「百万円煎餅」について

サイデンステッカー氏の訳でタイトルは何と「Three Million Yen」。
表題から既にLost in translation、翻訳の際に原文の持っているニュアンスなどを失うことであるが。

煎餅(訳ではcrackerになっている)がタイトルから消えているが、お金の単位が百万から三百万というのは。おそらく氏が翻訳した頃の為替レートが1ドル=360円だったのだろう。

タイトルとは文学作品においてとても重要なので、翻訳者が勝手に変えるべきではない…と私は思うのだが。
氏も悩まれたことだろうが、原題のままあるいは原題を忠実に英訳するのでは英語圏の読者に伝わりづらいと思って変えたのか。

本を貸してくれたR夫人には上記の事も言った。
「この作品は三島の中ではあまり好きではなかったけど、英訳のおかげでもっと興味がもてるようになった」と。
こんなに原文と違うのだから、もっと日本語勉強して欲しいな、という意味もあって言ったのだけど、どこまで伝わっているかな…。

この項目、もっと掘り下げるべきなので後日また改めて。

PankoChan09Oct21漫画.JPG

↑上の猫写真、画像をクリックしてご覧ください。
猫ちゃんのお言葉!?が読めます。

プルシェンコ

プルシェンコの復活は凄まじかった! 
難しい事を何でも無さそうにやり遂げて見せるのは相変わらず…というか、競技会レベルに戻すには大変な努力を要した事でしょう。でもそう見えない宇宙人!?振りは健在。
佐野さんの解説も面白かったです。
「ステップをゆっくり踏んでいるように見せて、巧妙に休んでいる」って、それもまた大変な技術かと思うのですが。
ランビエールはGPには未だ登場しませんが、男子復帰組には今の所高い得点が出ています。
果たして、女子のサーシャ・コーエン選手は?

のの字ケーキ

佐世保玉屋内シャンテリアの「のの字ケーキ」を頂きました。
有名芸能人が全国ネットで紹介したそうですね。
ナイフでカットするのが難しい(笑)…チョコクリームが実に繊細に飾られています。


市内の食堂でおこのみ焼きとおにぎり1個を食べました。
なんと200円と100円。
小ぶりとはいえ、ネギやキャベツ、削り節も良いものを使っていて、とても美味しかったです。
写真にポットまで写っているのは、使いやすくていいな、と思ったので。

Okonomiyaki09Oct25.JPG
ニックネーム suziestefan at 17:36| Comment(2) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする